5G 中国とアメリカの争い
5G 中国とアメリカの争い
5G関連特許と標準規格
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中国の目論見(巨大な国内市場を実験場にして、その成果物で外貨を稼ぐ)
一方、中国政府の戦略は範囲が広大で、たとえ中国移動(チャイナ・モバイル)(0941.HK)のような国内通信大手が5Gサービスから利益を上げることができなくとも、関連機器を製造しているメーカーは利益が手に入るような絵図となっている。クレディ・スイスの試算によると、通信機器大手ファーウェイと中興通訊(ZTE)(000063.SZ)は海外市場での合計シェアが25%ないし30%に達しており、海外通信大手への製品販売ですぐにもうけが得られる態勢にある。消費者にも恩恵があるかもしれない。中国の5G技術はそこそこの性能で価格は手ごろだと評価されている。
米政府は、中国のこうした収益源を断ち切ろうとしている。目論見が成功すれば、中国政府はその穴を埋めるため、国内通信網の構築で国内通信大手への依存を高めざるを得なくなるだろう。そうなれば大規模な5G戦略は瓦解し、補助金の負担は国内ですべて負うことになる。関連するソフトやサービスへの投資もリターンの先行きが暗くなる。こうなると中国としては5Gで投資競争に勝利しても実入りがないという痛い敗北を喫することにりかねない。
巨大な国内市場を実験場にして、その成果物で外貨を稼ぐ、という図式。アメリカがその形を切り崩そうとしている、と
国益をとるか、経済発展をとるか
国家という枠組みの引力の強さよ
「一帯一路」と光ファイバー
70カ国近くのインフラプロジェクトと投資プロジェクトを支える中国の「一帯一路」構想は、世界経済の4割に重大な影響をもたらすとされている。この巨大プロジェクトには、ユーラシア大陸を横断する多数の鉄道路線が含まれており、そこに光ファイバーケーブルもセットになっていることの意味は非常に大きい。
この光ファイバーによって、現在とはケタ違いに大量のデータを、遅延なくはるか遠くまで届けられる。調査会社のRethink Researchによると、中国政府は国内世帯の8割に光ファイバー接続を展開する計画も進めている。
光ファイバー網を構築するという中国の野心的なプロジェクトは、いくつかの重要な結果をもたらす。まず、ロシアおよび欧州との通信において、インド洋の海底を通る光ファイバーケーブルに中国が依存する必要がなくなる。インド洋の海底を通る光ファイバーケーブルは、米国の監視にさらされるおそれがあるものだ。
そしてもっと重要なのは、これらの広大な領域にまたがる巨大市場へのアクセスを中国が握るということである。中国やロシアと中央アジアとの結び付きは、さらに強まることになるだろう。